エンジンブロー

BNR32 がエンジンブローした。まだ買って3ヶ月ほどしかたってなく、 派手な運転(走行会、サーキット、ゼロヨンの類)も一切していないのであるが、 もともと御老体の車をGTRとしては安く買ったのがまずかった。 既に末期のエンジンだったのかもしれない。

ブローしたのは11月6日、土曜日。その日のできごとを 以下に記録した。

天気は最高。最近ハマっている電子工作のパーツの買い出しにフラリと 日本橋まででかけることにした。

まず近所のガソスタに寄って満タンにした。缶コーヒー片手に 14号線、鳥飼大橋、1号線、阪神高速、と乗り継いで、 順調に運行。私はしばしば気力の無い日は気力の出るようなBGM かけて制限速度でチンタラ走る。自慢のNS10Mに音楽を鳴らせて 阪神高速の左車線を時速60キロでノロノロ走っていた。 夕日がきれいだった。車は至って快調に走っていた。

「なんば」で降りる直前で最初の異常を感じた。 加速が急に鈍くなった。一瞬クラッチが滑ったのかと思ったが、そんな 感じではない。クラッチが滑ったのならタコメーターは上がる はずだ。しかしそうではなく、エンジンそのものが重たい感じを受けた。

しかしこの時はあまり気にとめず、なんばで降りて最初の信号を 右折し、日本橋方面に向かう。すぐにまた信号なので、ダブルクラッチで シフトダウンするためにまずクラッチを切る。ニュートラルにする。つなぐ。 ふかす。切る。1速にいれる。つなぐ。最後のクラッチをつなぐ その瞬間、クラッチから「ガリガリ」という感触を得た。 「なんだこりゃ?」と思った瞬間、車が「きゅうううんん」という音と共に急減速した。 とっさにクラッチを再び切るが既に車は停止、エンスト。

セルモーターを回そうとするも、なんかバッテリー上がりの様子に 似ている。セルモーターの回転が弱々しくエンジンはまったく かからない。

そして信号が青になった。ハザードを出して 動けない旨後続車に伝えるが、うまく伝わらない。 ジェスチャーで「追い越して先に行って」と一生懸命伝えて やっと後続車が追い抜きはじめた。そのうちの一台らはヤーさん系の 人たちが乗っていて、窓越しにこわーい視線を投げかけられてしまった。

1にも2にも、とりあえず安全なところまで車を移動しなくてはならない。 幸いに付近は平地だったので、車を人力で押して動かすことができた。 窓をあけ、外から車を押しながらハンドル操作し、サイドを引くと 簡単に「運転」できた。サイドブレーキは手で引くタイプなので、比較的 簡単だったが、これがもしよくある足踏みタイプならこの行為は容易では なかったと思う。ひとまず路肩に寄せた。

さてこれからどうしよう。周りを見渡すと100メートルほど先に エネオスがあった。ラッキー!。バッテリー上がりならば ガソスタで面倒みてくれるからだ。しかしそのためには交差点を1つ超えないといけない。 その信号は青と赤のサイクルが早く、青の間に車を押して速攻でわたり切らないと いけない。。。小さな交差点が途方も無く大きな超え難い交差点に思えた。

何度もタイミングを見計らって青になった瞬間、渾身の力をこめて車をおした。 横からではなく後ろから押した。交差点の半分くらいまで「加速」して そのあと走って運転席がわにスタコラサッサと回ってハンドルとサイドブレーキを操作して なんとか交差点を渡り終えた。渡れたはいいが、車を一人で後ろから押すのは かなり危険な行為であるため、ここを読んだ方はむやみに真似しないよう。

ようやくガソスタにたどり着いた。「バッテリー上がりみたいなんすけど。。。」 と伝えて、しかるべき処置を施してもらう。そしてエンジンをかけると。。。 「ウィンウィンウィン」「ウィンウィンウィン」。かからない。 セルモーターは力いっぱい回っている感じなのだがエンジンはかからない。 何度か試してもうまくいかないので、「これはひょっとしたらバッテリー 上がりなんかじゃなくてもっと他の部分が壊れた深刻な事態なのでは?」と思った。

そこでJAFを呼ぶことにした。がしかし、自分はJAFに入っていない。 会員証もなければ電話番号もわからない。ガソスタのあんちゃんに 「JAFの電話番号とここの住所わかりますか?」と聞くも、その人はバイト のようで電話番号はおろかここの住所もわからないと言う。なんとかならないかと お願いすると、電話帳みたいなのを引っ張り出してきてゴソゴソやってくれはじめた。 この時ふと以前別件でJAFにTELしたことがあるのを思い出した。 案の定携帯の発信履歴に残っていた。#8139である。( ハイ thank you と覚えるらしい。)

JAFによると、JAFに入っていない場合は駆けつけるだけで 6000円ほどかかるという。もし現場でなんともならなかったら普通は レッカー移動であるが、そうなった場合、キロ数におうじて課金されるという。 それでもよろしいか?と言うのでそりゃもちろん今は他に何も選択肢がなく、 救援依頼を頼んだ。こういう時困るのが正確な現地住所であるが、ガソスタの住所が わかっていたので、それを連絡。車の名前、色、ナンバー、なども伝えた。

JAFへの電話は一旦切って、次にレッカー移動になった時のために 受け入れ先を確保しないといけない。とりあえず購入時の中古車屋の社長に 電話しようとした。が。。。。携帯のバッテリーがもうほとんどない。 こんな時に切れてたら致命傷である。それで先にコンビニでよく見かける 携帯用の充電器を買う必要が出てきた。が、歩けど歩けどコンビニは無い。 もともと大阪はコンビニが少ないと思っているが、いざ探すと無いものだ。 途中の電気屋さんや雑貨やさんにも寄って「携帯用の緊急用充電器ありますか」 と聞くがみなさん首を横にふる。そういうしているうちに日本橋の電気街まで 来てしまった。ここなら絶対あるだろう。と思うも、入る店入る店全部 「無い」と答える。どーなってんのこれ。普段よくみかけるあの充電器が 天下の日本橋に無いのである。最終的にデパート並にでかいどこかの総合電気屋に かけこんでようやく充電器をゲットした。息を切らしてぜーぜー言いながら 充電器をレジで受け取る自分。ニコっと作り笑顔で淡々と品物を手渡すレジの おねえさん。この対比がなんとも格好悪い。

ようやく中古車屋の社長に連絡をとり、某自動車工場に受け入れてもらう準備を してもらった。あくまでJAFによって解決しなかったら、のために。

30分くらい待っているとJAFのトラックが到着。とりあえずバッテリー上がりを 疑い、ガソスタの対応と同じようなことをやってみる。しかしかからない。 そうこうしているうちにJAF側のバッテリーがなくなってしまった。 なのでこんどはJAFのトラックとバッテリーを直結してエンジンを かけてみた。しかしかからない。アクセルを踏みながらセルを回したり、 普通じゃ考えられないくらい長い時間セルを回したり、いろいろやったが やはりかからない。しかしJAFのおっちゃんに運転席を変わってもらい おっちゃんが操作すると10秒くらいセルを回しつづけてようやく エンジンがかかるようになった。万歳!コツでもあるのか。

ところが、である。エンジンはかかったが、エンジンの音があからさまに変。 エンジンの音が弱々しいのとカラカラ音がする。JAFのおっちゃんはすぐさま 「あ~こりゃメタル逝ってるね~」「たいへんなことになっているよ~」 「修理代とんでもない金額になると思うよ~」とかそういうことを言い始めた。

エンジンはかかったので自走できるか聞いてみたら「絶対無理」とのことなので やはり先に連絡しておいた自動車工場に運ぶことにした。GTRは四駆なので レッカーではなく積車が来ていたので、それに積み込んだ。 ちなみにこの積車への積み込みは不謹慎ながらけっこう楽しかった。 めったにできる体験ではない。

あとはJAFのおっちゃんと一緒に自動車工場までドライブである。 いろいろお話をした。意外にジムカーナで話が合った。というのは、JAFは しばしばジムカーナで走行不能になった車を積車で移動する機会が多く、 馴染み深いのだそうである。よくある出動のパターンを聞いてみたところ、 世間一般ではやはりバッテリー上がりらしいが、モータースポーツ系では クラッチのトラブルだそうだ。ロケットスタートのやりすぎでクラッチを 使い果たしてしまって動けなくなるのだとか。珍しい出動パターンも 聞いてみた。山奥のさらに山奥で動けなくなった車に救援依頼を頼まれたが そこはJAFのトラック自体が入っていけないようなところ(具体的には高槻の 萩谷運動公園のルートをさらに北へ行ったとこにある知る人ぞ知る秘境である) で、検討の末、出動自体を断ったことがあるそうな。高速道路でも真夜中でも 来てくれるJAFだがこういう断るパターンは珍しいらしい。

雑談しているうちに自動車工場についた。料金は基本料金6000円とキロ1000円くらいで 合計1万と6000円だった。もっとかかるのかと思っていたがそこそこでちょっと 安心した。JAFに入っていたらもっと安くなったのだが。。。

さて、ここからが大変である。原因を特定してしかるべき部分を直さないと いけない。自動車工場の人に見てもらう限り、エンジンブローのようだ、と。。。 オイルの循環がなんかの理由で途切れて、メタルが焼きついてしまったのではないかとの ことである。そういえばJAFのおっちゃんも同じことを言っていた。 おそらく正しいのだろう。。。状況は、排ガスが白くて臭い。ゴムが焼けるようなにおいがする。 エンジン音が普通でなく、なんかこもっている感じがする。カラカラ音がする。 オイルは普通に入っているがオイル圧が上がらない。走ってて止まった。走行キロはかなりいってる

ここでメタルについて説明。自分も最初は知らなかったのだが、いろいろ 話を聞いて理解した。メタルとはクランクシャフトとピストンをつなぐ軸受けの部品で、 ここのオイルが途切れると一発で焼き付くらしい。そして一度焼き付くと もう元には戻らず、大きな摩擦抵抗となる。そのために回転は上がらない、 セルを回してもエンジンがかかりにくい、といった現象が発生する。 またオイルが回っていないので、オイル圧があがらず、あちこちが 焼けて排ガスから焦げ臭いにおいがするらしい。

そう考えると、なんばをおりた直後の現象は納得がいく。おそらく 阪神高速の運転中にすでにオイルの循環がなんかの拍子で止まってしまい、 ずっとオイル無しで運転していた状況だったのかもしれない。 オイル圧見ときゃよかったと後悔している。きっとオイル圧はかなり初期の段階から 上がっていなかったのだろう。それがわかってたら焼き付く前に運転中止できて いたのに。。。そしてオイル無しのままチンタラ走行の高速を 終えて下に降り、信号でシフトダウンのための回転数あわせで ちょっと吹かした瞬間に焼け付いたのかもしれない。

ていうか、もともと購入時からエンジンの掛りは悪かった。 最初からすでにメタルが逝きかかっていたのかもしれない。 悪い車をかわされたのかもしれない。